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ディープなSMの世界からアホな日常まで、想いのまま綴る
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『S』の憂鬱
          『どちらかと言うとS』
          『どちらかと言うとM』



私はどちらかと言うとではなく悲しいことに明らかに『S』なのである。

そんな何気ない会話の中で聞く言葉で、一種の疎外感を感じてしまうこともある。

  『どちらかと言うと・・・』
それはどちらかと言わなくてもいいことで、ただのセックスで心も身体もそれなりに
満足できるということなんだろう。

私はただのセックスでは心も身体も満足できない、サディスティックな性癖の持ち主
になってしまったのである。

何を今更? と思うかもしれないが、時々痛感させられる時があるのだ。

ただのセックスである程度の満足感が得られれば、
「相手を困らせることはないだろう」
「自分もそんなに困ることはないだろう」
などと思って悩んでいた頃が甦ってしまう。




いつの頃からだろう・・・
気が付いた時には、ただのセックスでは満足できないでいる自分がいた。
初めは何でなのかわからなかった。
相手が嫌いなわけじゃない。
むしろ好きなのに、何で物足りないんだろう。
この違和感はなんなんだろう?
わからないから、追求しなくてもいいか。と思っていた。


ある日ひょんなことからSMに携わることになった。 
 「何だかすごく楽しい!」
初めてSMをする緊張感はなく、退屈しないセックスを見つけたような気になった。
縛り方、道具の扱い方、言葉責め、SMの基礎的なことをどんどん吸収していった。
水を吸い上げるスポンジのように、あっという間にいろいろなことを覚えていく。
そしてそれをすぐに実践したいと思った。

精神性を追求していくSMはまだ知らない頃だ。 
「こんなことしたら楽しいだろう」 好奇心からくる興味が先だった。

クラブでいろんなM癖の人とプレイを重ねていくうちに、自分の欲求に気が付いた。
ただ覚えた責めをして、お客さんとしてきているM男性に満足させたいわけじゃない。
「お互いで二人の世界が作りたい。」
SMを共同作業として、お互いに満足できる時間が過ごしたいなぁと思いはじめた。

クラブでの仕事では、私が楽しむことはどうでもいいことで、まずはお客としてきている
相手を満足させるのが最優先事項なのだ。
それが仕事だから仕方がない。
そう思っている自分を気付かれない様に振舞わなければならない。
物理的に満足させるのは当然なことで、雰囲気も大切な要素だから演出しなければならない。

そのまま月日が流れると、表面上のSMをすることに慣れてきてしまい、
自分が求める何かに対して鈍感になっていった。
SMは私の趣味ではなく、あくまで仕事だ。


じゃあ、何でただのセックスでは満足できないんだろう? 
その疑問を追及しはじめた。
相手を変える、シチュエーションを変える、場所を変える、いろいろ試してみたが
どれもピンとくるものはなかった。
そしてその結果は「仕事でもいいからSMしてる方が楽しい。」だった。

仲の良い男の子の友達には、「もう諦めた方がいいよ。普通じゃないんだよ。」
と言われたが、「そんなことはない。まだ試してないことがあるからわかんないよ。」
と性癖を持っていることを自覚しようとはしなかった。

ごく稀にクラブでのプレイでも心が触れ合う瞬間がある。 
それを実感できた時は「楽しい」から「嬉しい」に変わる。
やっぱり欲しいのはこの感触だ。

ただのセックスでは味わえない心の満足感を得ることができる。 
仕事とはいえその回数が増えてくると、「やっぱりSなのかもしれない・・・」
と思うことも多くなってきて、自分でも認めざるを得なくなってきた。

そうなると、ノーマルな関係で付き合っている彼に対して義務に近い感情しか
抱かなくなってきて、何もかもに満足できなくなってきた。 
優しくすることもイヤになってきた。
そこには情しかなく、愛情を傾けることはなくなっていった。
私に頼ってくる彼の態度がイヤで別れてしまった。
それだけで、何だか自由になった感じがした。


その頃からか「仕事。」と割り切っていたクラブでのプレイに「仕事だけど・・・」と
仕事だけでは割り切らない、お客として
きている相手に何かの感情を注いでプレイするようになった。 
その「何か」は相手によって違うけど、愛情に似た感情が多かったように思う。
そして、仕事のSMに心が疲れてくるようになっていった。

雑誌やビデオで見た私に対して、それぞれの妄想を抱き、それをぶつけてくる人が
多くなってきて、その妄想にできる
限り近づけるためにより演技をするようになった。
たまに耐えられないことを要求する人も中にはいて、感情を爆発させることもあった。

そのたんびに「私はそんな人じゃない」と
心の中で叫んでいて、わかって欲しいと思うようになった。
メディアで作られたキャラクター通りの私がやっているSMは商品
であって、
本当に私が欲しているSMではないことぐらいわかってもらいたかった。
でも、ただのお客さんにそれを求めること自体間違っているのはわかっていた。

私は相手をほんの少しでも理解しようとしながら、仕事のSMをするようになって
いったから、相手にも私を理解してもらいたいと思う欲求が出てきてしまったのだ。

「ただ楽しませてくれればいい」と思っているお客さんにとっては
本当に迷惑な話だ。

そのギャップを感じると同時に自分の性癖を認めるようになっていった。

「表面上のSMではなくて、自分の心からSMがしたい」、そう願うようになっていた。
仕事ではしょせん無理な話とわかっていても、どこかで諦めることができないでいた。

いつもそんなことを思いながら、仕事のSMを繰り返していたある日、
今の所有物と出合ってしまった。

でも、あくまでお客さんなので、私の願いを彼にぶつけるのは間違っていて、
叶わない希望と止めておくしかなった。



クラブを辞めて、やっと開放された。
もう自分を偽らなくていい、私はただの
『サディスティックな性癖を持つ変態』でしかないのだから。




同じようにM癖の方で悩んでいる方もいるだろう。 
気持ちがなんとなくわかる。
それをちゃんと理解してくれる人がいてほしい、
でもそんな人は稀にしかいないこともわかっている。

私の元へくるM男性はできるだけ理解し、わかってあげれるようになりたい。 
それでしか救われないことを知っているから。
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